ストローク
~ふれあいなしに生きてゆけない~
ストローク・・他人の存在を認め、その認めたことを表わす言動。
「私はあなたの存在を認めています」というメッセージのやりとり。
これを通常、私たちは他人との「ふれあい」とか「かかわりあい」と言っています。
このストロークには、プラスのストロークとマイナスのストロークがあります。
プラスは、もらうとハッピー(気持ちがいいと感じる)になるストローク、例えば、微笑みかけたり、あいさつしたり、抱きしめられたり....。
マイナスは、もらうとアンハッピー(痛みとして感じる)になるストロークのことです。例えば、睨みつけたり、批判したり、殴られたり....。
いくつか例を挙げながら表にすると、以下のようになります。
ストロークの種類 →ストロークの↓ 表現方法 |
プラス(肯定的)ストローク↓新しい人間関係を創ることができる |
マイナス(否定的)ストローク↓人間関係はこじれる |
身体で表現するもの |
・抱きしめる・握手をする・撫でる |
・殴る・蹴る・ぶつかる |
言語で表現するもの |
・励ます・褒める・慰める |
・悪口を言う・罵倒する・けなす |
非言語で表現するもの |
・うなずく・微笑む・見守る |
・見下す・睨む・軽蔑する |
誰でもプラスのストロークをもらいたい、あるいはあげたいのではないでしょうか。
しかし、どうしてもプラスがもらえない時、あなたはマイナスをもらうのと、何にもないストロークゼロの状態のどちらを選びますか?
嫌な思いをするくらいなら、何もいらないと思う人もいるかもしれません。
しかし、ストロークの法則では「ストロークが何も無いよりも、マイナスを求める」と定義しています。
ストロークの法則=マイナスのストロークであっても全くもらえないよりはまし
ストロークは、人が生きていく上で、水や空気と同じように絶対必要条件なのです。ストロークがゼロの状態というのは、そこに居るのに、完全に無視されているような状態です。無視されるというのは、実に生きていく上で究極に苦しい環境なのです。
例えば、虐待されてきた幼い子供は、虐待を続ける母親と引き離しても、母親の悪口を絶対に言いません。マイナスのストロークしか知らない子供は、母親と離れ、何の関り合いもない恐ろしい状況に置かれるよりも、母親のマイナスのストロークを求めるからです。悲しいですが、それが現実です。
また、自ら他人との関わりを拒否し、自分の内にのみストロークを求める「ひきこもり」状態もストロークのとても薄い状態です。実際に行動としてひきこもっていなくても、人との親密な交流を避けて生活しているという人は現代社会に多くいます。
こうした「心理的ひきこもり」になっている人は、一見、普通に日常生活を送っているようでも、ストロークの薄い状態、つまり息も絶え絶えのような日々を送っているわけです。
従って、こころはいつも苦しかったり、虚しかったりしています。そんな日々が長く続くはずはなく、ストローク枯渇の限界が来ると、自分でも予想しなかったマイナスのストロークを求める衝動的行動に走ることがあります。
少し親しくなった異性に異常に執着したりする場合や、ときには事件に発展するような行為だったりする場合もあります。ニュースなどで「おとなしそうな人だったのに、びっくり...。」などと言う、周囲のインタビューがよくあります。善悪や諸事情はさておき、事件勃発に至るまでのその人の「ストロークを求める」こころの声が聞こえるようです。
またストロークは、貯金ができます。プラスをたくさん貯金してきた人は、自然と他人にもプラスを与えますし、少々マイナスを受けても、プラスに変えていく力があります。
しかし、マイナスの多い人は、プラスのやりとりに慣れていないので、自らマイナスのストロークを投げたりします。当然、相手からもマイナスが返ってくることになります。
こうしてマイナスを得やすいような交流パターンの言動を無意識に繰り返してしまうのです。
以下に、建設的な交流を築くためのストロークのあり方
○ 与える「どうぞ」...与えるべきストロークが手元にあれば与える。
○ 我慢しない「ください」...欲しいストロークがあれば、素直に要求する。
○ 謙遜しない「ありがとう」...欲しいストロークが来たら受け取る。
○ はっきり断る「NO」...欲しくないストロークが来たら拒否する。
○ 自分を褒める「頑張ったね」...自分自身にストロークを与える。
「なんか、最近ちょっと変だな?」と感じたら、自分のストロークのやりとりをチェックしてみる必要はあるかもしれません。